役員の選任基準について(CTO選任のお知らせ)

皆さん、こんにちは。恋愛・婚活マッチングサービス『pairs』やカップル専用コミュニケーションアプリ『Couples』を展開するエウレカで3ヶ月ほど前に、創業者から代表取締役CEOのバトンを受け取りました、石橋です。

新CEOになったということで、CEOらしくブログを書くことにしました。頑張って月1回くらいのペースで更新していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

さて第1回目の記事は、ちょうど本日弊社のプレスリリースで発表いたしました「新CTO就任のお知らせ」と紐付けて、エウレカのCTO及び執行役員選任の基準について記したいと思います。

新CTOについて

まず今回CTOに就任した金子について、簡単に紹介を。 金子は下の名前が慎太郎なので、メンバーからは「カネシンさん」と呼ばれていますが、僕は普段「金子さん」と呼んでいるので、このブログでは「金子さん」と表記します。

金子さんは僕がエウレカに入社した2013年7月にはすでに在籍していました。当時、彼は入社してまだ半年くらいで、Webやスマホアプリの開発はエウレカに入ってから初めて経験したということだったのですが、すでにサーバサイド、Webフロントエンド、iOS、Android、インフラ、いずれもそれなりにできていて、特にiOSに関してはすでに社内でもっとも技術力の高いエンジニアでした。そんな金子は、エウレカに入る前は、SIerでQAをしていたり、その後会社を辞めてカナダに留学したり、帰国してからはNEETをしながら最適化理論の研究を母校である東京理科大学でしていたりと、謎の経歴の持ち主。入社するまでにC言語などをがっつり書いてたみたいなんですが、それでもWeb関連の技術をこれほど短期間でキャッチアップするとは…!と驚いたのを今も覚えています。
当時エウレカでpairsのマーケティングのために開発していた、「診断pairs」というFacebookアプリから、pairsのiOSアプリ版、CouplesのiOSアプリ版、pairsのサーバサイドのGo言語フルスクラッチ、と彼がリードしてきた案件は数知れず。

その実績や後述するCTO及び執行役員選任の基準を満たしたため、このたび入社から4年で、執行役員CTOに選任する運びとなりました。

CTO・執行役員選任の8つの基準

執行役員や「CxO」と呼ばれるCクラス人材の選任基準は、当然会社によって異なるものですし、視座というか求められる課題発見力も会社によって異なると思います。また、明確な基準があるというよりはポジションが空いていることにより選任されるケースもあるかと思います。
しかし、エウレカとしての選任基準を明確にすることで、CTOや執行役員を目指す方々が自社の考え方と対比し、どのようなスキルセットやマインドセットを身につけるべきなのかの参考になればと思い、今回、執行役員CTOに就任した金子の執行役員として、CTOとして、それぞれの選任理由をまとめました。

ちなみに「取締役」「執行役員」「CxO」といったタイトルの違いについては、こちらの記事がとても参考になるので、いまいち違いが分からないなぁという方はぜひご覧になってみてください。

では、まずCTOとしての選任理由から。

1. 社内トップクラスの技術力

CTOの技術力が必ずしも社内トップである必要はありません。しかし、少なくともひとつ以上の分野で高い技術力を持ち、技術的な課題を解決できる技術力を持っていること。そして、メンバーがそれを認めていることが重要です。エウレカは大企業ではないので、チームビルディングやプロジェクトマネジメント、ストラテジーを考えるだけのCTOは必要としていません。現場でメンバーと共に戦えるCTOを求めています。

2. 社外での技術者としての活動

これが重要だと思う理由は2つあります。

ひとつはイベント登壇などを通して、社外でのプレゼンスを高めることが採用観点で重要だと考えている点。エウレカはわりと早めにGo言語の導入を進めてきたため、数多くの知見が蓄積されています。金子はそのなかでも、もっとも広く深い知見を持つエンジニアのひとりで、Go言語界隈では知られたエンジニアです。そして、Go言語関連のカンファレンスでもそれ以外の勉強会などでも積極的に登壇をしています。

もうひとつは思想的な話になるのですが、僕は”OSSの恩恵を受けている一定以上の規模の企業は、OSSに対して貢献するべき”と考えています。エウレカを含め数多くのインターネットサービス企業はOSSによって成り立っていると言っても過言ではありません。もしOSSが無くエンタープライズ向けのミドルウェア、ソフトウェアだけでサービスを運用していたらコストがかさみ、ビジネスモデルによってはサービス成長に充分な投資をすることができません。また、それ以前に、会社としてある程度まとまったキャッシュがまだなかった創業期にサービスを立ち上げることすらできていなかったかもしれません。
OSS界隈を更に盛り上げていくことが、エウレカにとっても、今後生まれてくるスタートアップにとっても、リターンがあると考えているので、一定以上の規模の企業になったエウレカはそこに積極的に貢献していきたいと思っています(もちろん技術的なPRの意味もゼロではりませんが)。だからこそ、CTOというテクノロジー/エンジニアリングの象徴であるポジションに、OSS活動をしているエンジニアを据えたいと思っている次第です。

3. エンジニアとしてのメンバーからの信頼感

技術力が高ければエンジニアとして一人前なのかというと決してそうではありません。例えば、

  • 枯れたテクノロジーからモダンなテクノロジーまで幅広い知見を持ち、プロダクティビティを上げる可能性を感じたらプロダクトへの導入を検討する
  • 障害時のわずかな時間から情報を吸い上げ、適切な判断・決断する意思決定力を持つ
  • 技術選択やアーキテクチャ選定をする際のメリット・デメリットを正しく認識した上でロジカルに自分の意見を展開する

といったことも重要で、これらの能力においてエンジニアからの信頼を得ていなければいけません。CTOは会社の経営戦略に沿って技術戦略を立案・執行する立場なので、こういった能力がなければ戦略自体もおぼつかないものになりますし、ましてや現場の信頼なくして執行などできるわけがありません。

4. エンジニアリングやテクノロジーに対するパッション

これは短期間で技術力を伸ばすエンジニアは大体持っていると思うのですが、たまに技術力が高いエンジニアでも技術を”ただの手段”としてしか見ていない人がいます。僕は技術に限らず、UI/UX、プロダクトマネジメント、ファイナンスなど、どの分野においても、自分自身のプロフェッションをただの手段としてしか見ない人は究極的には信用できないと思っています。そういったタイプの人は、自らのプロフェッションの分野で何かあると言い訳をするからです。また、その分野においてある程度のリスクを許容してリターンを得るというよりも、極力安全側に倒す、といった保守的な人が多いようにも思えます。それでは個人としてはもちろん、企業としても技術面からの非連続的な成長ができません。
テクノロジーもエンジニアリングもプロダクト開発の一手段であり、それ自体を目的にしてはいけませんが、一方で手段を目的化するほどの執念というか情熱みたいなものは必要だと思います。エンジニアリングもテクノロジーも大好きでそれ自体を追求していけるが、同時にプロダクト開発のための手段のひとつということを忘れない。この一見相反する考えを頭のなかで共存させられるエンジニアこそがCTOとしてふさわしいと考えています。

では、次に執行役員としての選任理由を。

1. ビジネスマンとしてのメンバーからの信頼

ビジネスで人の上に立つからには

  • 仕事ができる人であること
  • ビジネスマンとして模範的な行動をする人であること
  • そもそも人として(欠点なども含めて)信頼されること

といったことが重要だと思います。経営陣たる執行役員も同様にこうであらねばならないと思っています。これだけ聞くと当たり前だと思う方もいれば、型にはまっていてつまらない、もっとぶっ飛んだ人を経営陣におかなければ面白くないという意見を持つ方もいると思います。
確かに会社が非連続的な成長をするためには、人として色々なものが欠落していたとしても、一点突破できる強みをもった人が必要になるときもあります。ですが、そういった人を上に置くと、何らかの形でひずみが生まれます。一見それを支える女房役のような人がいてうまくいっているように見えても、必ず現場に負荷がかかっています。それでも会社として、その人をエンジンに前進していれば良いという考え方もあるとは思います。しかし、エウレカは一個人に依存した成長をする企業を目指していません。掲げているビジョンに向かって、非連続的かつ個の力と組織の力を融合して持続的・継続的に成長できる企業を目指しています。

また、これに関して僕が思うのは、物ごとには順番はあるけれど、やった方が良いことは絶対やった方が良くて、そこに理屈をこねて言い訳してやらない人は成長しない、ということです。これは色んなレイヤであてはまることなのですが、ここでは”役員として”の文脈で例えたいと思います。
例えば、社長や役員が機嫌次第で挨拶をしないとか、やたらと態度が大きいとか、昼頃に出社することが状態化しているとか、会議に常に遅れてくるとか……社長や役員なんてそんなもんだよと思っている方もいるかもしれません。でも、普通に考えてこんなこと絶対にない方が良い。そして、本人としてもそんなものはちょっとした努力で変えられたりするし、変えたところで本人の良いところは潰れないし、スループットが落ちるわけでもない。
つまり、一点突破できる力は重要ですが、それと普段の言動は別にトレードオフになるものではなく、もしトレードオフが発生しているように見えるのであれば、それは本人の努力不足、意識の欠如でしかないということです。これは簡単な努力で変えられるものなので、きちんとしっかりしてメンバーから信頼を得ようよと思いますし、このような考え方を理解して、どんなポジションになっても慢心せず自分を律することができる人こそが、執行役員としてふさわしいと考えています。

2. 経営陣との一体感

これも僕は結構重要な要素だと思っています。
普段から経営陣とものすごく密にコミュニケーションをとっていなくても、今会社が向かおうとしている方向や、会社のフェーズやカルチャーの変化といったものを、普段の業務のなかで感じとれるかどうか。例えば、エウレカで実施している月1回の全社会や同じく月1回の1on1面談、四半期に一回の定期面談、コラボレーションツールやチャット、立ち話、会議といった場での役員の言動から、自分が何を求められているか?どういう立ち居振る舞い・言動をするべきか?を自ら考え、理解し、実践する。そういった「空気を読む力」が役員になる人には求められています。会社の方針をその都度懇切丁寧に説明しないと分からない、では役員は務まりません。意思決定のスピードや正確性にも関わりますし、まだ説明されていない事柄に関してメンバーから質問を受けた時に、僕とその役員とでは違う受け答えをすることがあるかもしれず、ダブルスタンダードを生んでしまう可能性があるからです。役員それぞれに個性があり、物事を見る角度、アクションスタイル、得意分野、人脈は異なる。けれども、根本的な考え方やマインドは同じ。だから自ずと「空気を読みとれる」。そういった経営陣でなければ、どこかまとまりのない組織になって、会社として持続的・継続的な成長をすることができないと僕は考えます。

3. 圧倒的なセルフモチベート

これも非常に重要です。役員なのに「今モチベーションが下がっています」というのはありえません。社員からしたら「そんなことは知らんから、早く仕事して...!意思決定して...!それでパフォーマンス落ちているとか、給与泥棒だから...!」みたいな話です。たとえどんな逆境に置かれても、それをポジティブに捉えてセルフモチベートし、確実に結果を出すことで更にトランス状態になる。役員にはそんな素養が必要です。

ちなみに、ちょっとモチベーションからはずれるかもしれませんが、僕は根がセンシティブなので、「誰それがああ言っていた、こう言っていた」などと自分や会社に対して少しでもネガティブっぽく聞こえる発言が耳に入るたびに正直かなり凹みます...。ですが、それでもパフォーマンスは絶対に落としませんし、すぐに立ち直ります。気持ちが揺らいで正常な精神状態で意思決定できない瞬間を極力作りたくないからです。
役員というのは基本的にはストレスフルな役割なので、メンタルの強さみたいなものは絶対に必要です。でも、繰り返しになりますが根はセンシティブなので、皆さんどうか僕には優しくしてください。

4. 会社の成長に対するパッション

役員は、会社のビジョンと個人のビジョンを完全にクロスさせて、「会社の成長=自分の成長」という考え方のもと、自分自身が会社を成長させるという気概を持たなければいけません。そこがクロスせず自分の成長を重視すると、仕事内容の選り好みやパフォーマンスのばらつきが少なからず発生するからです。役員というのは、会社で起こるあらゆる課題・問題を自責だと捉え、オーナーシップを持って解決できる人でなければいけません。時と場合によって、オーナーシップやパフォーマンスにムラがある状態であってはならないのです。役員がそんなスタンスで仕事をしている会社は、連続的な成長すらどこかで足元をすくわれ、おぼつかないものになるでしょう。

最後に(経営メンバー不足している問題)

以上、CTOとして4つ、執行役員として4つの合計8つの選任基準を挙げましたが、最後にひとこと。

エウレカの第3Qは過去最高の収益・EBITDAとなりました。また、2016年通期でも、今のところYoYで150%成長ペースです。経営は順調と言えますが、僕にとって第3Qはあくまで経営体制交代の余波を押さえつつ、着実に実績を出し周囲の信頼を得ることで、今後に向けた弾みをつける、まさに"土台作り"の3ヶ月間でした。
第4Qは、金子の執行役員CTO就任に伴う経営体制の強化や、マネージャーやリーダーポジションのメンバーを倍増したことによる兼任ポジションの一掃で組織体制の強化を図ったことなどを含めて、一気に攻めに転じる四半期にします。また、2017年はその勢いのままに、足元の連続的な成長を加速させつつ、国内外で事業投資を積極的に行い非連続的な成長を遂げます。

とは言っても、今のエウレカは全従業員数145名に対して、常勤取締役3名、執行役員1名の体制で経営をしています。ぶっちゃけ全然足りません。まだまだ経営陣がボトルネックとなっていることも多いです。常勤取締役と執行役員あわせて8-10名くらいが最低必要人数だと考えています。なので、今後社内での昇進はもちろん、社外からの招聘を含めて経営体制を更にアップデートし、国内外での事業をドライブさせていきたいと思っている次第です。